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更新日:2021年08月23日
公開日:平成29年3月3日
平成28年芽室町議会定例会3月定例会議の開会にあたり、平成29年度町政執行の基本方針並びに重点施策を申し上げます。
我が国の経済情勢は、アベノミクスの取組の下、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続いているものの個人消費および民間設備投資は、所得、収益の伸びと比べ力強さを欠いた状況とされています。
政府は、デフレ脱却を確実なものとしつつ、経済の好循環をより確かなものにするため、アベノミクス「新・三本の矢」に沿って、一億総活躍、地方創生、国土強靭化、女性の活躍など、あらゆる政策を総動員することとしていますが、個人消費の低迷、労働力不足などを理由に地域経済の先行きには不透明感が漂っています。
それら現況のもと、本町の経済状況を見ますと、給与所得の底上げは感じられるものの、消費行動の停滞感は払拭されておらず、日常生活は依然厳しいものと認識しております。
本町は、昨年8月の連続台風災害により未曾有の被害を受けました。
特に台風10号による河川氾濫によって残された爪痕は、過去に経験したことのない大きなものとなりました。
現在、復旧・復興対策本部を設置し、激甚災害指定による補助制度を活用しながら、全力で復旧に取り組んでいるところでありますが、冬期間の工事施工は困難であり、災害復旧工事は平成29年度に本格化することになります。
しかし、流失した農地の地力が元の状態に戻るまでには、相当な年月がかかるものと推察しています。
このような情勢の中、町民の皆さんが地域において安全で安心して暮らし続けるために、災害復旧を優先するための業務執行体制を確保しながら、「第4期芽室町総合計画の将来像」実現を目指し、「後期実施計画」という明確な指針に基づき予算編成したものであります。
それでは、第4期芽室町総合計画のまちづくりの5つの基本目標ごとに、重点施策を申し上げます。
まず、1つ目の「誰もが健やかに生き生きと暮らせるまちづくり」であります。
施策の「生涯を通じた健康づくり」では、乳幼児・児童・高齢者の予防接種費用の助成と、子育て支援の観点から中学3年生と高校3年生を対象としたインフルエンザ予防ワクチン接種費用の半額助成を継続するとともに、特定健診受診率向上を目指した節目年齢の国民健康保険加入者の特定健診自己負担金の減免や、健康ポイント制度を継続し、健康づくりへの積極的な参加を促進します。
また、新たに糖尿病の早期発見と重症化予防を目的に特定健診の二次検診を実施し、糖尿病に起因する疾病予防に取り組みます。
「公立芽室病院の総合的な医療体制の維持・発展」では、診療機器の計画的更新を進めるとともに、引き続き、医師・看護師確保も含めた医療体制の維持と充実に全力をあげて取組みます。
「安心して生み育てることができる子育て支援」では、経済的負担を軽減するため、乳幼児等医療費助成、多胎児世帯に対する育児サポートシステム利用料助成、妊婦健診自己負担実質ゼロ政策を継続するとともに、不妊治療費助成は初回の助成額を30万円に引き上げ、男性の不妊治療も対象に加えます。
また、妊娠中や子育て中に一人で悩まず気軽に相談できる「子育て世代包括支援センター(めむろ版ネウボラ)」を平成29年4月から開設し、産後ケアを含めた支援体制を強化するとともに、日常的に医療的ケアを必要とする児童に対し、病院・訪問看護ステーションとの調整を行い、当該児童の発達を支援します。
なお、子育て支援の主要施策である 発達支援システムについては、早期発見から青年期支援・就労支援まで一貫性と継続性のあるサポートを引き続き充実します。
「児童福祉の充実」では、認可保育所入所定員を超える利用申し込みが継続していることから、やむを得ず民間認可外保育所を利用しなければならない児童に対して、保育料の差額助成と受入保育施設の運営費助成を継続することで、「待機児童ゼロ」を維持するとともに、第2子以降出産時における在所児の継続入所期間拡大を継続します。
また、農村地域保育所における休日保育を5月と9月の連休中に2日ずつ実施し、保育サービスの充実を図ります。
さらに、「芽室町農村地域保育所再整備計画」に基づき、芽室南小学校北側に保育所と児童館を併設する複合施設を建設するとともに、町内民間法人が平成30年4月から認定こども園を開設するにあたり、保育を必要とする児童の受け入れ先が拡大することから、施設建替え費用の一部を支援し、子育て支援を一層推進します。
「高齢者福祉の充実」では、介護保険制度改正に対応する総合事業を継続するとともに、地域包括ケアシステムの取組みとして、各種介護予防教室、認知症総合支援を推進します。
さらに、住民による支えあい活動や自主的介護予防活動などを推進するためコーディネーターによる生活支援体制づくりを継続します。また、新たに医療・福祉連携マップや情報共有ファイルを作成し、高齢者自らが希望する生活を実現するため、在宅医療と介護の連携を強化します。
「障がい者の自立支援と社会参加の促進」では、町業務における職場実習と就労体験を継続するとともに、就労継続支援A型事業所への支援、障がい者の一般就労への移行・定着に向けて、職域開拓・受入企業支援・マッチング・定着支援などの業務を中間支援団体に委託し、障がい者雇用の拡大を目指します。
また、農産物加工と農作業体験をセットにした体験プログラムを提供するため、町有地約1haを農業体験圃場として整備するとともに、首都圏の特別支援学校や企業を対象に障がい者就労フェアを引き続き開催し、交流人口増加を目指します。
次は、2つ目の「豊かな自然を生かした活力ある農業のまちづくり」であります。
施策の「担い手育成と農業支援」では、アメリカのTPP(環太平洋経済連携協定)離脱宣言により、農畜産物の国際貿易情勢の先行きがさらに不透明な状況にありますが、引き続き政府の動向を注視しながら農業関係機関と本町が組織する芽室町農業再生協議会による情報共有と適宜対応を進めます。
また、輪作体系上、欠かすことのできない作物である「てん菜」の作付面積を維持するため、てん菜作付奨励総合対策事業を継続実施するとともに、風雪害防止と農村景観維持のため、耕地防風林の植栽・枝払いに要する経費の一部助成を継続し、耕地防風林の保育・造成を支援します。
「農業生産性の向上と農業の応援団づくり」では、関係機関と設置する芽室町有害鳥獣対策協議会への支援と、狩猟免許を持つ有害鳥獣駆除員のパトロール活動による予防対策および効率的な捕獲体制を維持し、残滓処理施設の運営を継続します。また、小学生を対象とした、めむろ農業小学校と地産地消バスツアーを継続実施し、食育の推進や地産地消・消費拡大を図り、地元の皆さんに愛される農業の応援団づくりを進めます。
「農地・土地改良施設等の整備・充実」では、公社営草地畜産基盤整備事業および、畜産クラスター事業を継続実施し、草地・畜舎等の畜産生産基盤を整備し飼料自給率の向上を目指します。
また、道営土地改良事業を継続実施し、畑地かんがい・暗渠排水などによる畑作生産基盤の整備と営農用水事業を活用した無水源地域などの飲用水対策を進めます。なお、本格化する災害復旧事業と並行し、最終的な復興には長期的な観点での農業基盤の再整備が不可欠であることから、国・北海道などへの事業要望も含めた総合的な農地復旧に向けた取組みを進めます。
「地域内循環の推進と商工業の振興」では、「まちなか縁側プロジェクト」を解散し、新たに町民活動として「(仮称)めむろまちなか再生会議」を立ち上げ、まちなかにある施設機能や役割を整理・議論し、中心市街地に賑わいを取り戻す方策の検討を進めます。
また、女性向け起業セミナーを継続開催し、女性の就労や起業の希望を叶えるきっかけづくりを進めます。なお、中小企業融資事業は、金融機関における協調融資倍率と融資枠を拡大した利子・保証料補給を継続し、中小企業の経営安定および雇用安定を目指します。
「地域資源を活用した観光の振興」では、芽室町外の個人の方からの寄附に対して本町特産品を贈呈する「ふるさと納税特典贈呈事業」を継続するとともに、「天空カフェ」の経験を活かし、新たに食と景観を活用した「サイクルツーリズム」に取り組み、交流人口の増加と農畜産物のPRを促進します。
また、平成29年度は昭和22年に本町で考案されたゲートボールが発祥70周年を迎え、誘致活動を行っていた文部科学大臣杯第33回全日本ゲートボール選手権大会が本町で開催されることとなり、大会実行委員会に対し、開催町としての歓迎費用を支援します。
さらに、発祥70周年に加え、発祥の地杯全国ゲートボール大会が30回記念大会となるため、ゲートボールを愛好する落語家、三遊亭円楽師匠と円楽チームを招聘し、記念事業実行委員会に対し事業経費を支援します。
次は、3つ目の「快適で安全安心な暮らしを支えるまちづくり」であります。
施策の「災害に強いまちづくりの推進」では、昨年の台風災害で、町内会などの地域活動は極めて重要であることを再認識したことから、新年度も町内会等の自主防災組織の設立や運営支援などを継続するとともに、指定避難所に防災対策用資機材と非常用食料・飲料水の備蓄を進めます。
また、避難場所への誘導サイン設置を計画的に進めるとともに、台風10号災害に関する検証を踏まえ、「地域防災計画の見直し」「避難所運営マニュアルの作成」「備蓄計画の見直し」「戸別通知手段の検討と発信ルールの策定」「防災訓練の見直し」「庁舎建設基本設計への提言」など、専門家にアドバイスを頂きながら豪雨・地震・火災などの災害から町民の生命・財産を守る取り組みを進めます。
「消防・救急の充実」では、とかち広域消防事務組合による体制の維持と円滑な運営を進め、消防団については、引き続き資機材の整備等を進めます。
また、災害時における広域消防局、消防団、災害対策本部の連携体制を再構築し、訓練を強化します。
「有効な土地利用の推進」では、緑町公営住宅跡地の第2期宅地分譲地域を対象とした子育て世帯新生活応援奨励制度と、町内全域を対象とした中古住宅購入者応援奨励制度を継続するとともに、新たに、子育て世帯とその親世帯が町内で近居するために転入される世帯に対し奨励制度を創設し、子育てや介護に対する不安の解消と定住促進を充実します。
「快適な住環境の整備」では、「芽室町公園施設長寿命化計画」に基づき3公園の老朽遊具を更新し、また、公営住宅等長寿命化計画に基づき、西町団地のうち1棟8戸の外壁・屋根・建具の長寿命化型改善工事を継続実施するとともに、台風被害を受けた花菖蒲園の再生を図ります。
「道路交通環境の整備」では、交通弱者の移動手段としてコミュニティバス(じゃがバス)を運行し交通弱者対策を継続するとともに、運転免許証を返納する高齢者対策を確立します。道路新設改良は、市街地、郊外地ともに災害復旧工事の実施による業務量と調整したうえで、優先度・緊急度の高い路線を選択し、舗装・改良工事を行うとともに、除雪専用車両を更新します。
また、公共土木施設(道路)の効率的なパトロールと維持修繕を目指した、包括的業務委託を継続し、パトロールの的確な実施と異常・危険個所の早期修繕を目指します。
「景観の保全とクリーンエネルギーの推進」では、一般住宅の太陽光発電システム導入にかかる費用助成を継続するとともに、街路樹の剪定枝や支障木を資源化し、エネルギーの域内循環を目指した、シニアワークセンターとの協働による木質ペレット製造事業を継続し、北海道立総合研究機構と本町が共同研究を進めている農業用廃プラスチックの再資源化の研究と事業化を継続します。
また、「芽室町公共サイン整備計画」に基づき、老朽化した住所表示板の更新を進めます。
「上下水道の整備」では、上水道、簡易水道、公共下水道など各施設の老朽化に対応した長寿命化の視点から計画的に更新工事を実施するとともに、市街地上水道の自己水源を確保するため、深井戸施設を更新整備します。
次は、4つ目の「個性的で心豊かな人と文化を育むまちづくり」であります。
施策の「学校教育の充実」では、学校施設の長寿命化を目指し、上美生小学校の校舎・体育館、上美生中学校の外壁・屋根の塗装工事に加え、老朽化が著しい芽室中学校体育館の大規模改修工事を実施するとともに、芽室小学校体育館および芽室西中学校校舎の改修基本設計を行います。
また、新エネルギー対策と環境教育をあわせて芽室中学校に太陽光発電パネルを設置します。なお、学校給食センターの設備老朽化に伴い、冷温水発生機冷却塔を更新し、安全性の高い学校給食を提供します。
「地域文化の振興」では、町外で行われる演劇やコンサートなどの鑑賞費用の一部助成をしていますが、十勝管内の要件を撤廃し、芸術文化に触れる機会を拡大します。
「スポーツしやすい環境づくり」では、台風により喪失した十勝川河川敷サッカー場の代替施設として、JAめむろ本部事務所西側用地を借上げ、芽室西運動広場を開設します。
次は、5つ目の「町民が主役となった自治に基づくまちづくり」であります。
施策の「地域活動の推進」では、建設中の西地区新コミュニティセンター完成に伴い、旧施設の解体と外構整備を進めます。
また、地域課題の解決を住民自らが創出・企画する活動や、住民活動を振興する団体活動支援を継続するとともに、住民活動の支援組織として町民活動支援センターの運営を継続し、住民と行政との協働によるまちづくりを目指します。
「効果的・効率的な行政運営」では、計画期間を平成31年度からとする「第5期芽室町総合計画」の策定に着手します。また、新嵐山スカイパークのあり方について、行政改革の視点から現状と課題を分析し、将来の観光資源と第3セクター運営の方向性を検討します。
以上、第4期芽室町総合計画の基本目標ごとに重点施策を申し上げましたが、本町の平成29年1月末の住民基本台帳人口は、18,923人となり、前年同月比で100人の減少となりました。
私は、人口減少を抑制し「芽室町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を組み込んだ「第4期芽室町総合計画」の将来像を実現するためには、現在、芽室町に住まれる方がいつまでも住み続けられることを前提としつつ、芽室町で暮らしてみたいと感じていただけるようなまちづくりが重要であると考えます。
そのことが、持続可能なまちづくりであると考え、住民生活に密着した課題に焦点をあて、解決策を政策化する予算としたところであります。
また、冒頭申しあげた災害復興関連予算を平成28年度補正予算として提案し、繰越明許費として平成29年度に事業を実施しますが、私は、何よりも被災された皆さんの復旧・復興を最優先する「台風10号の本格的復興の1年」とする決意を新たにしているところであります。
ここで、平成29年度予算案の総括的概要について、申し上げます。
一般会計ほか、7つの特別会計、2つの事業会計を合わせた予算総額は、212億5,399万9千円となり、前年度210億5,548万2千円と比較し、0.9%の増となりました。
一般会計予算総額は、116億9,000万円で、前年度比3千万円の増でありますが、特殊要素として、先ほど申し上げた災害復興予算などの、平成28年度予算の繰越明許費で実施する事業の19億6,649万3千円を加えると、実質予算額は、136億5,649万3千円となり、前年度の実質予算額120億2,445万7千円と比較すると13.6%の大幅増となります。
一般会計の歳入の個人町民税では、農業所得において、昨年の長雨や台風の影響により、過去最高の農業粗生産額となった平成27年度と比較すると大幅な減少が見込まれますが、所得区分内訳の約7割を占める給与所得が微増と見込まれ、減少額は3%程度にとどまると予測したものであります。
一方、法人町民税は農業関連企業の業績悪化が懸念されましたが、申告納付状況を踏まえると増加が予測され、また、固定資産税も大手企業の工場施設建設による家屋面積の増から増加が予測されます。
このことから、町税全体では前年度当初予算額と比較すると、約4,800万円増と見込みました、しかし、歳入の約3割を占める地方交付税のうち普通交付税は、個別算定基礎を本町に当てはめた当初予算比では3.3%、1億1,000万円の減、交付実績比では約6.8%、約2億3,000万円の減と見込まれ、財政調整基金を2億5,000万円取り崩し、一般財源を確保することになりました。
一方、歳出では、「芽室町農村地域保育所再整備計画」に基づく、保育所と児童館を併設する複合施設の建設や、民間法人が行う認定こども園開設に対する支援、芽室中学校体育館の大規模改修などのハード事業に、子育て世代包括支援センター(めむろ版ネウボラ)の開設や出産・子育てに対する支援の充実、在宅医療と介護の連携強化、障がい者就労の拡充、定住促進などのソフト事業をあわせ、第4期芽室町総合計画を総括し、実現を目指した予算編成としました。
平成29年度は、本町における長期的まちづくりの指針である、第4期芽室町総合計画の最終年度の前年であることと、第5期芽室町総合計画の策定に着手する年であり、マクロ・ミクロの両方向からPDCAサイクルを意識する重要な年でもあります。これら要素から、本年度の予算は、「災害復興断行と子育て支援の進化予算」として編成したものであります。
地方自治体の行財政環境は、今後も厳しさを増すと考えております。今日、足元に存在する課題を考察してみますと、町民の皆さんの生活の中で一番の懸念事項は災害復興と景気回復であると推察し、町としてできる各種対策にあっては、迅速に対応していくことを念頭に、国・道の動向や地方自治制度の改革情報を把握し、迅速で安定的な行財政運営を目指してまいります。
以上、私の所信とともに、町政執行の基本方針および重点施策を述べさせていただきました。
私は、第4期芽室町総合計画をまちづくりの指針として、町民の皆さんおよび各種団体・組織体の皆さん並びに企業・法人の皆さんなど、さまざまな主体と情報を共有し、支えあいながら、このまちの課題解決に向けた協働のまちづくりを進めてまいります。
町議会議員の皆さん並びに町民の皆さんには一層のご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
芽室町役場 政策推進課
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