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更新日:2021年08月23日
公開日:平成30年3月3日
平成29年芽室町議会定例会3月定例会議の開会にあたり、平成30年度町政執行の基本方針並びに重点施策を申し上げます。
我が国の経済情勢は、アベノミクスの推進により、雇用・所得環境の改善が続く中で、緩やかな回復をみせ、個人消費や民間設備投資が持ち直すなど民需が改善し、経済の好循環が実現しつつあるとされています。
政府は、持続的な経済成長の実現に向け、「生産性革命」と「人づくり革命」を車の両輪として、少子高齢化という最大の壁に立ち向かうため、「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定し、今後は各種政策の効果もあって、景気は緩やかな回復が続くと見込んでいます。
一方、内閣府の月例経済報告では、「先行きについては、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される」とされ、個人消費は持ち直していると判断しています。
これら現況のもと、本町の経済状況を見ますと、給与所得の底上げは感じられるものの、月例経済報告のとおり個人消費は落ち込んだものが回復・持ち直している状態でありますが、真の上昇とは言えず、日常生活は依然厳しいものと認識しております。
このような情勢の中においても、「第4期芽室町総合計画の将来像」実現を目指し、平成30年度は総合計画期間の最終年度となることから、将来目標と現況下の課題を的確に認識し、「後期実施計画」に掲げた明確な指針に基づき予算編成したものであります。
それでは、第4期芽室町総合計画のまちづくりの5つの基本目標ごとに、重点施策を申し上げます。
まず、1つ目の「誰もが健やかに生き生きと暮らせるまづくり」であります。
施策の「生涯を通じた健康づくり」では、乳幼児・児童・高齢者の予防接種費用の助成と、子育て支援の観点から中学3年生と高校3年生を対象としたインフルエンザ予防ワクチン接種費用の半額助成を継続するとともに、特定健診受診率向上を目指した節目年齢の国民健康保険加入者の特定健診自己負担金の減免や、健康ポイント制度を継続し、健康づくりへの積極的な参加を促進します。
また、糖尿病の早期発見と重症化予防を目的とした特定健診の二次検診を継続実施し、糖尿病に起因する疾病予防に取り組みます。
「公立芽室病院の総合的な医療体制の維持・発展」では、診療機器の計画的更新を進めるとともに、引き続き、医師・看護師確保も含めた医療体制の維持と充実に全力をあげて取組むとともに、厳しい経営状況に対応するため、病院改革プランを改正し、診療科目の休・廃止や病床削減などに取り組みます。
「安心して生み育てることができる子育て支援」では、経済的負担を軽減するため、乳幼児等医療費助成、多胎児世帯に対する育児サポートシステム利用料助成、妊婦健診費用全額助成、不妊治療費助成を継続するとともに、貧困を含む様々な困難を抱える児童に対する学習支援や食事の提供を行う、「子どもの居場所づくり事業」を継続し、児童が地域で安心して暮らせる環境を充実します。
また、妊娠中や子育て中に気軽に相談できる「子育て世代包括支援センター(めむろ版ネウボラ)」を継続開設するとともに、日常的に医療的ケアを必要とする児童に対する専門機関との調整を行い、当該児童の発達を支援します。
なお、子育て支援の主要施策である発達支援システムについては、早期発見から青年期支援・就労支援まで一貫性と継続性のあるサポートを引き続き充実します。
「児童福祉の充実」では、芽室幼稚園の認定こども園が4月に開設されることから保育所入所定員が拡大し、町単独事業として実施してきた待機児童対策は終了とします。
また、「芽室町農村地域保育所再整備計画」に基づき芽室南小学校北側に「ひだまり保育所」と「みなみっ子児童館」を併設する複合施設を4月から開設し、保育サービスと放課後児童対策を充実します。
なお、第2子以降出産時における在所児の継続入所期間拡大と、町立保育所における休日保育を継続実施します。
「ひだまり保育所」建設に関する地域協議で課題となった遠距離送迎の保護者負担について、全町的課題と捉え、片道4キロメートルを超える保護者に対し、送迎燃料費の2分の1相当額を助成し、経済的負担の軽減を図ります。
さらに、急性期疾病の保育児が病児保育施設を利用する保護者に対し、利用料の2分の1相当額を助成し、子育てと仕事の両立を支援します。
「高齢者福祉の充実」では、介護保険制度改正に対応する総合事業を継続するとともに、地域包括ケアシステムの取組みとして、各種介護予防教室、認知症総合支援を推進するとともに、住民による支えあい活動や自主的介護予防活動などを推進します。
また、病気で医療行為が必要になっても介護サービスを利用して在宅のまま生活できるよう、医療に特化した相談窓口を公立芽室病院内に開設します。
さらに、介護人材の不足は本町においても深刻な課題となっていることから、訪問介護従事者や総合事業従事者の養成、無資格就労者のキャリアアップ・有資格者の復職研修を一体的に行い、介護サービスの確保に努めます。
「障がい者の自立支援と社会参加の促進」では、町業務における職場実習と就労体験を継続するとともに、就労継続支援A型事業所への支援、障がい者の一般就労への移行・定着に向けて、職域開拓・受入企業支援・マッチング・定着支援など、障がい者雇用の拡大を目指します。
また、首都圏の特別支援学校や企業に対し、本町の取組みをPRし、交流人口増加を目指します。
次は、2つ目の「豊かな自然を生かした活力ある農業のまちづくり」であります。
施策の「担い手育成と農業支援」では、農畜産物の国際貿易情勢について、引き続き政府の動向を注視しながら農業関係機関と本町が組織する芽室町農業再生協議会による情報共有と適宜対応を進めます。
また、「てん菜」の作付面積を確保し輪作体系を維持するため、てん菜作付奨励総合対策事業を一部見直して継続実施するとともに、風雪害防止と農村景観維持のため、耕地防風林の植栽・枝払いに要する経費の一部助成を継続し、耕地防風林の保育・造成を支援します。
さらに、畜産クラスター事業を継続実施するとともに、酪農家の生産基盤強化と労働負担軽減を目指し、家畜ふん尿処理施設および哺育育成施設の調査・計画・設計に着手します。
「農業生産性の向上と農業の応援団づくり」では、関係機関と設置する芽室町有害鳥獣対策協議会への支援と、狩猟免許を持つ有害鳥獣駆除員のパトロール活動による予防対策および効率的な捕獲体制を維持し、残滓処理施設の運営を継続します。また、小学生を対象とした、めむろ農業小学校と地産地消バスツアーを継続実施し、食育の推進や地産地消・消費拡大を図り、地元の皆さんに愛される農業の応援団づくりを進めます。
「農地・土地改良施設等の整備・充実」では、道営土地改良事業を継続実施し、畑地かんがい・暗渠排水などによる畑作生産基盤の整備と営農用水事業を活用した無水源地域などの飲用水対策を進めます。なお、災害復旧事業と並行し、長期的な観点での「土づくり」が不可欠であることから、団体営事業として農地耕作条件改善事業による客土工事を進め地力回復に向けた取組みを継続します。
「地域内循環の推進と商工業の振興」では、「めむろまちなか再生会議」による、中心市街地に賑わいを取り戻す方策の検討を進めます。
また、女性向け起業セミナーを継続開催し、女性の就労や起業の希望を実践するきっかけづくりを進めます。
「地域資源を活用した観光の振興」では、芽室町外の個人の方からの寄附に対して本町特産品を贈呈する「ふるさと納税特典贈呈事業」を継続するとともに、本町の食と景観を活用した「サイクルツーリズム」に継続して取り組み、交流人口の増加と農畜産物のPRを促進します。
次は、3つ目の「快適で安全安心な暮らしを支えるまちづくり」であります。
施策の「災害に強いまちづくりの推進」では、台風災害の経験を踏まえ、「自助・共助の意識啓発強化」として、地域防災マスターが防災リーダーとして活躍できる環境整備と町内会等の自主防災組織の設立や運営支援などを継続します。
また、「公助としての計画やルールの策定・見直し」として、避難所運営マニュアルの点検やハザードマップの作成・配布、防災対策用資機材と非常用食料・飲料水の備蓄を進めます。
さらに、町からの情報発信手段を連携するシステムを導入しタイムラグの解消を目指すとともに、緊急情報の早期発信のため「災害告知用戸別端末」を導入し、情報伝達手段の拡充を図り、豪雨・地震などの災害から町民の生命・財産を守る取り組みの総合性を強化します。
「消防・救急の充実」では、とかち広域消防事務組合による体制の維持と円滑な運営を進めるとともに、防火水槽を整備し消防水利の確保に努めます。
「有効な土地利用の推進」では、子育て世帯新生活応援奨励制度の対象地域を緑町公営住宅跡地から、ほぼ市街地全域とするとともに、中古住宅購入者応援奨励制度を子育て世帯限定に見直して継続します。また、子育て世帯とその親世帯が町内で近居するために転入した世帯に対し奨励制度を継続し、移住・定住を促進します。
「快適な住環境の整備」では、「芽室町公園施設長寿命化計画」に基づき5公園の老朽遊具を更新し、また、公営住宅等長寿命化計画に基づき、西町団地のうち2棟8戸の外壁・屋根・建具の長寿命化型改善工事を継続実施します。
「道路交通環境の整備」では、交通弱者の移動手段として市街地にコミュニティバス(じゃがバス)を継続運行し、農村地域における移動手段確保策を継続検討します。
道路新設改良は、市街地、郊外地ともに、優先度・緊急度の高い路線を選択し、舗装・改良工事を行うとともに、除雪専用トラックを更新します。また、公共土木施設(道路)の効率的なパトロールと維持修繕を目指した、包括的業務委託を継続し、パトロールの的確な実施と異常・危険個所の早期修繕を目指します。
また、平成29年度の反省に立ち、すべての職員の交通安全意識を一層強化します。
「景観の保全とクリーンエネルギーの推進」では、街路樹の剪定枝や支障木を資源化し、エネルギーの域内循環を目指した、シニアワークセンターとの協働による木質ペレット製造事業を継続します。また、北海道立総合研究機構と本町が共同研究を進めてきた農業用廃プラスチックの再資源化について、事業化検討を継続します。
「上下水道の整備」では、上水道、簡易水道、公共下水道など各施設の老朽化に対応した長寿命化の視点から計画的に更新工事を実施します。
また、上伏古地域から西伏美地域にかけた水道未普及区域解消を目標に進めた道営土地改良事業は、本年10月1日から一部通水開始の見込みとなり、今後も、順次整備を進めます。
次は、4つ目の「個性的で心豊かな人と文化を育むまちづくり」であります。
施策の「学校教育の充実」では、学校施設の長寿命化を目指し、芽室西小学校体育館床改修工事、芽室西中学校校舎等改修実施設計を実施するとともに、教育環境の整備として芽室南小学校屋外トイレ建設工事、芽室中学校外付エレベーター実施設計、芽室西中学校グラウンド水飲み場設置工事などを実施します。
なお、学校給食センターの食器洗浄機を更新し、安全性の高い学校給食を提供します。
「地域文化の振興」では、中央公民館の施設老朽化に対応するため、エレベーター改修工事および大ホール照明改修工事を実施します。
「スポーツしやすい環境づくり」では、町営野球場の老朽化に対応するため、バックネットやダッグアウトなど大規模改修工事を実施します。
「国際・地域間交流の推進」では平成3年度から交流を始め、親善交流協力協定を締結しているブラジルゲートボール連合から、第12回世界ゲートボール選手権大会への臨席招聘があったことから、同時に開催される国際親善ゲートボール大会に本町から1チーム派遣する訪問団を結成し、一層、友好関係を深めます。
次は、5つ目の「町民が主役となった自治に基づくまちづくり」であります。
施策の「地域活動の推進」では、「地域集会施設再整備計画」に基づき、地域協議が整った新生地域および栄地域の集会施設再整備を進めます。
また、地域課題の解決を地域住民自らが創出・企画する活動や、住民活動を振興する団体活動支援を継続するとともに、住民活動の支援組織として町民活動支援センターの運営を継続し、住民と行政の協働によるまちづくりを目指します。
「効果的・効率的な行政運営」では、計画期間を平成31年度からとする「第5期芽室町総合計画」を策定します。
また、働き方改革を主とした第10次行政改革大綱を策定するとともに、新嵐山スカイパークの経営形態について検討を進めます。
「親切・便利な行政サービスの推進」では、役場新庁舎建設に向けて実施設計を進めるとともに、先行発注型三者協定方式(ECI方式)による建設手法を導入し、早期完成を目指します。
以上、第4期芽室町総合計画の基本目標ごとに重点施策を申し上げましたが、本町の平成30年1月末の住民基本台帳人口は、18,923人となり、前年同月比で100人の減少となりました。
私は、人口減少を抑制し「芽室町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を組み込んだ「第4期芽室町総合計画」の将来像を実現するためには、現在、芽室町に住まれる方がいつまでも住み続けられることを前提としつつ、芽室町で暮らしてみたいと感じていただけるようなまちづくりが重要であると考えます。
そのことが、持続可能なまちづくりであると考え、住民生活に密着した課題に焦点をあて、解決策を政策化する予算としたところであります。
また、冒頭申しあげた災害復興関連予算を平成28年度補正予算として提案し、繰越明許費として平成30年度に事業を実施しますが、私は、何よりも被災された皆さんの復旧・復興を最優先する「台風10号の本格的復興の1年」とする決意を新たにしているところであります。
第4期芽室町総合計画の基本目標に分類されていない災害関連では、被災農地の復旧工事の進捗や補助制度の制限によって、適用外とされた被災者に対し、土づくりや営農継続に対する町単独の支援を実施します。
また、被災農地の復旧は道営土地改良事業を中心に進められ、土質改善のため団体営農地耕作条件改善事業による客土工事を実施していますが、この道営事業と団体営事業の受益者負担格差軽減を図るため町単独の支援を実施します。
さらに、美生川の増水により流失した美生川河川敷パークゴルフ場について、北海道の支援を受け河川敷の流失土砂の回復が終了することから、美生川河川敷パークゴルフ場の復旧工事を実施します。
以上、第4期芽室町総合計画の基本目標ごとに重点施策を申し上げましたが、確実に進む人口減少の中で政策展開を進めるためには、ひとつの政策をもって効果を期待することは非現実的であり、政策間連携による複層的政策の実施が重要であると認識しています。
冒頭申しあげたとおり平成30年度は第4期芽室町総合計画の最終年度であるとともに、第5期芽室町総合計画策定の年でもあります。
計画行政を推進してきたことから、第5期総合計画を見据えた持続可能なまちづくりのため、住民生活に密着した課題に焦点をあて、解決策を政策化することを基本としてきました。
また、災害復興の激甚災害指定に基づく復旧事業は、平成30年度をもって終了となります。被災農地の土づくりといった長い年月を要する関連事業もありますが、日常生活における災害復興の完遂を目指した予算編成としたところであります。
ここで、平成30年度予算案の総括的概要について、申し上げます。
一般会計ほか、7つの特別会計、2つの事業会計を合わせた予算総額は、205億8,538万5千円となり、前年度212億5,399万9千円と比較し、3.1%の減となりました。
一般会計予算総額は、114億3,000万円で、前年度比2億6千万円の減であります。特殊要素として、繰越明許費を含めた平成30年度実質予算は118億1,785万4千円でありますが、平成29年度実質予算は平成28年度予算の繰越明許費で実施した災害復興予算が19億6649万3千円あり、実質予算は136億5,649万3千円であったことから、実質予算対比では13.5%の大幅減となります。
一般会計の歳入の個人町民税では、農業所得において、一部において台風の影響もありましたが、総じて天候に恵まれ、農業粗生産額は過去最高を記録したことから、過去最高であった平成28年度課税実績と同額に見込みました。
また、所得区分内訳の約7割を占める給与所得が微増と見込まれ、個人町民税は増加予測としたものであります。一方、法人町民税は農業関連企業の業績回復が見込まれますが、企業間格差が大きいことから前年課税実績の10%減と見込み、また、固定資産税は評価替えの年であることから既存資産の減収が予測されますが、大手企業の工場建設による増が見込まれます。
このことから、町税全体では前年度当初予算額と比較すると、約1億4,500万円の増と見込みました。
しかし、歳入の約3割を占める地方交付税のうち普通交付税は、個別算定基礎を本町に当てはめた当初予算比では6.0%、1億9,000万円の減と見積もり、財政調整基金を2億2,000万円取り崩し、一般財源を確保することになりました。
一方、歳出では、「ひだまり保育所」と「みなみっ子児童館」を併設する複合施設の開設や、民間法人が行う認定こども園の開設といった「子育て支援の充実」、福祉人材確保対策として「福祉サービスの確保」、酪農家の家畜ふん尿対策や哺育育成対策など「基幹産業の振興」、防災対策強化・災害対策本部機能を備えた庁舎建設など「安全安心の確保」、定住促進策の拡充など「人口減少対策」といった、『第4期芽室町総合計画の総仕上げと第5期芽室町総合計画へのつなぎ』を意識した予算編成としました。
また、平成28年台風被害の復旧・復興に全力を挙げているところでありますが、被災された農業者や企業に対する支援策とともに、美生川河川敷パークゴルフ場の復旧工事を行い、『災害復旧・復興完遂年』を目指します。
以上、私の町政執行の基本方針および重点施策を述べさせていただきました。
私は、第4期芽室町総合計画をまちづくりの指針として、町民の皆さんおよび各種団体・組織体の皆さん並びに企業・法人の皆さんなど、さまざまな主体と情報を共有し、支えあいながら、このまちの課題解決に向けた協働のまちづくりを進めてまいりましたが、町議会議員の皆さん並びに町民の皆さんにはご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げ執行方針とします。
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